EQMM 2019/09 No.0 EQMM31号から42号(1959年)までを総括する。

42号までを対象にした理由

都筑道夫がこの号を最後に編集長を退いたので、それをひとつの区切りとし42号までを対象にしています。ちょうど1959年、まる一年の評価にもなります。

作品の分布について

31号から42号までの作品数は全140編。大幅に作品数が増えています。特大号が増えたせいですね。

一方でポイント平均は、6点を0.1ポイント下回ることになりました。前回盛り返したのにまた低落、6.06からポイントを落としています。

総数 平均 偏差 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 5.0 4.0 3.0 2.0
140 5.90 1.34 1 8 10 20 22 30 6 22 11 9 1
% 0.71 5.71 7.14 14.29 15.71 21.43 4.29 15.71 7.86 6.43 0.71

秀作

8.0ポイント以上は秀作。8.5ポイントはそれを上回る作品と評価します。

秀作は全部で9作。前回の12.5%から6.43%まで低下してしまいました。

題名 作者 評点 コメント 掲載号
逃げるばかりが能じゃない ヘンリイ・スレッサー 8.5 有名な作品。スッキリした展開が見事。にもかかわらず、この作品、目次から漏れているぞ。 1959-07-037
8.5以上の作品 : 1
五十一番目の密室 ロバート・アーサー 8.0 再読だが、やはり面白い趣向である。楽屋落ちも楽しい。都筑道夫が「特別解説」を書いて登場作家の紹介をしている。 1959-01-031
探偵作家は天国へ行ける C・B・ギルフォード 8.0 アイデイアが良い。謎解きは今ひとつだが、ラストはニヤリとさせられて楽しい。 1959-04-034
九死に一生 スチュアート・パーマー&クレイグ・ライス 8.0 早い展開で最後は法廷対決、敵役も出てきて読ませる作品。 1959-07-037
白昼の闇 ウィット・マスタースン 8.0 面白く読めるし、プロットもよくできている。この作家はうまい。 1959-08-038
帽子から飛び出したうさぎ クリスチアナ・ブランド 8.0 凝った構成で読ませる作品。 1959-09-039
屍を越えて アンソニー・ギルバート 8.0 皮肉な結末が痛快。 1959-10-040
静寂は叫ぶ フレドリック・ブラウン 8.0 再読だけど、やはり秀作だと思う。 1959-10-040
ロバート・ブロック 8.0 ウィアドテールズ版人面疽だ。雰囲気が良い。 1959-10-040
8.0の作品 : 8
秀作(8.0以上) : 9 6.43%

作家別頻出度

登場作家はトータル106名。
最多登場は再度「エラリイ・クイーン」でした。

下記に2作以上登場した作家を一覧表示します。

作家数 :106名
エラリイ・クイーン : 7
スタンリイ・エリン : 5
ヘンリー・スレッサー : 4
ロバート・ブロック : 4
C・B・ギルフォード : 3
トマス・ウォルシュ : 3
フレドリック・ブラウン : 3
ジョージ・ハーモン・コックス : 2
バリイ・ペロウン : 2
Q・パトリック : 2
アラン・E・ナース : 2
ヒュー・ペンティコースト : 2
レイ・ブラッドベリ : 2
チャールズ・グリーン : 2
シオドア・マシスン : 2
エイブラム・デイヴィッドスン : 2
マーク・ヴァン・ドーレン : 2
クレイトン・ロースン : 2
ダシール・ハメット : 2

読むに耐えぬ作品

全140作品中、3ポイント以下がなんと10作。駄作率7.14%という情けない結果となりました。これまでは秀作率が駄作率を上回っていたのですが、ここに来て逆転してしまいました。平均点の低下も、このあたりが効いています。特に増大号には、明らかにページの水増しと思われる作品も散見しました。

武士の情け、一覧は載せません。