Invisible Death ( Brian Flynn )

古臭いスリラーもどきの展開にがっかり。退屈な読書でした。


 Brian Flynnの第6作「Invisible Death(1929)」を読んでみます。前作の「The Five Red Fingers」が今一つの出来だったのですが、今回はどうでしょうか。


こんな話

 話は主人公である Anthony Bathurst が、何者かの監視に置かれていることに気がつく場面から始まります。

 数日前に彼は、Constance Whittaker という婦人から「夫である Whittaker大佐 が見知らぬ人間から脅されているので、なんとか助けてほしい。」という手紙を受け取っていたのだが、どうやら彼を監視している男たちはその脅迫に関係しているようであった。その依頼を受けるには、Whittaker夫妻が住む Swallowcliffe Hall になんとかたどり着かないといけない。Bathurstは、友人である Peter Daventry の協力を得て、監視している男たちをなんとか撒いて邸宅に到着してのである。
 大佐を脅迫しているのは、ロシア人グループ「Silver Troika」という結社のようであった。大佐は1917年頃、ペテルブルグに潜入し、彼らと敵対関係にあったようだ。その生き残りのメンバーが、大佐にロシアから持ち帰った資料を引き渡すよう要求、もし応じなければ命を奪うと脅迫していたのである。
それに対し、大佐は資料は全て焼き捨ててしまった、残しているものは何もない。その旨を彼らに答えたのだが、取り合ってくれないのだと言う。
 Bathurstは、ロシア人グループと交渉に当たると同時に屋敷の警戒態勢を整えるのだが、突然大佐は倒れ込み死亡してしまう。それは一見自然死のように見えるのだが、果たしてどうなのだろうか..。


読み終えると..

 前半は古臭いスリラー仕立ての追跡劇で始まるのですが、ロシア人グループは全く迫力がなく、そのせいかストーリー自体に緊迫感がまるでありません。中盤でようやく引き起こる大佐の死の謎もまるで面白みがなく、犯人の正体もこれはいかがなものかというレベル。今回は失望以外何もない作品と言わざる得ません。