The Great Insurance Murders ( Milton Propper )
連続殺人に試行錯誤する展開とラストの意外性が楽しめます。古典的なパズラーファンにお薦め。
Milton Propper(1905-1962) は、フィラデルフィア生まれ。刑事 Tommy Rankin を主人公とした作品を14作発表。1930年代には本格物の作家として一定の評価を受けていたようですが、晩年は悲惨だった模様、1962年に自ら命を絶ってしまいました。
その生涯については、こちらのサイトで詳細に記述されています。
これまで、Propperの作品は2作読んでいるようですが、どちらもミステリとして読ませる内容でした。(この頃の採点は少し厳しいので、+0.5 しても良いと思う。)
| Author | Title | Publisher | Point | Comment | Date |
|---|---|---|---|---|---|
| Milton Propper | The Family Burial Murders | Harpers | 6.5 | 犯人の設定は楽しいが、冗長度が高い。2/3に縮小したら面白いかも。 | 2000/12/06 |
| The Boudoir Murder | Harper | 7.5 | 良く考えられた構成で退屈しない。犯人の最後の行動はマヌケだが。 | 2004/02/18 |
今回は、「The Great Insurance Murders(1937)」という作品を読んでみます。
こんな話
事件は、Polo の試合中に起きた殺人事件で幕を開けます。Polo というのは、『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、
ポロ(英語: polo、英語発音: [ˈpoulou]、ポウロウ)は、馬に乗って行う団体球技の一種。世界で最も古い歴史をもつ競技の一つである。漢字で馬球(ばきゅう)と表記される。
とのこと。
まあ、「騎馬ホッケー」みたいなものですか。イギリスの競技という印象がありますが、フィラデルフィアでも人気があったのでしょう。
その試合中、Bruce Clinton という選手がサイレンサー付きの拳銃で射殺されたのである。
被害者の Clinton は少し前まで、Marion Belmont という女性と婚約まじかと言われていたのだが、それは現在破綻していた。その後、Marion は建築家の Alex Randolph と婚約するのだが、それを知ったClintonが強く詰ったため、二人は殴り合いの喧嘩をしたことが広く知られていた。Alex は、当然容疑者の一人である。
しかし、もっと大きな動機を持つのが、Murray Stevens という男であった。彼は、Clintonと共同で事業を行っていたが、その際にお互いを受取人とする20万ドルの生命保険に入っていたのである。Crinton が亡くなった今、それを受け取るのは彼である。
Clintonの事業はうまく行っていないようで、財政的にも苦しんでいたようだ。Stevens は、そんな事業に多額の融資をし、共同経営者にまでなっているのである。
また、Stevens は、 Marion の財産後見人も務めていた。どうやら生前彼女の父親から信頼を得ていたらしい。しかし、Alexは、Stevens が Marion の財産を横領し、それを事業につぎ込んでいるのではないか、と強い疑いを持っており、事件当日に Stevens と会談する予定だったという。さらに、Stevens はサイレンサーが盗まれた店舗にいることが確認され、容疑はより強くなっていったのである。
ところが、そんな中、その Stevens が撲殺されてしまう。これにより事件は振り出しに戻ってしまったのである。
Stevens 殺害には新たな容疑者が浮かんでくる。彼が受け取る予定の20万ドルは、唯一の親戚であるHal Bentleyが相続することになる。
また、Stevens は、かつて Elias Walton という会社経営者を追い込み、その財産を我がものとしていたという事実が明るみに出てくる。その結果、Elias は自殺、息子の Rufe Walton はそれを強く恨み、Stevens を付け狙ってたようであった。
事件を担当するのは、フィラデルフィア警察刑事 Tommy Rankin であった。彼は様々な角度から事件を検討するのだが..。
読み終わると...
Bill Pronzini の「1001 Midnights」や、森英俊編「世界ミステリ作家事典」でも指摘されていますが、殺人犯は「過去からの復讐者」というのが、Propper パターンのようですが、今回は意図的かどうかは知りませんが、それを逆手にとった意外な展開が楽しめます。
探偵役の Tommy Rankin は、作者が設定したパズルを忠実に検討していくような存在であり名探偵とはとても言えませんが、彼が試行錯誤しながら真剣に取り組んでいく経過はなかなか面白いものがあります。ただ、今回の作品では、不審人物を待ち伏せして捕まえた瞬間、ようやく事件の全容を把握するという始末、いささかおそまつでしたね。
ストーリー展開は要所で殺人が起きるので、読んでいて退屈しません。何より英語が平易なのがありがたい。それで点数が少し甘くなったかもしれません。
Harper & Brothers 1937 First Edition 274ページ