こんなときは、自宅で鉄道旅行でもプランニングしよう ( 運賃計算ツール MARS を使ってみる )
このところの武漢ウィルスの影響で外出はご法度。厭な時代です。早く解消されることをこころから祈念しております。
さて、こんなときは、自宅でノンビリと今後の鉄道旅行でもプランニングして、時間つぶしをしましょう。旅行は計画が一番楽しいものですから。今回は、そのような鉄道旅行に不可欠なJRの運賃計算と、それをサポートするツールを紹介します。
鉄道旅行を楽しむ際、知っておきたいのが、JR運賃の「遠距離逓減制」というルールです。
「遠距離逓減制」を知る
JRの運賃は当然距離で決まるわけですが、本州3社(東日本、東海、西日本)の場合、100kmまでなら1690円、200kmまでなら3410円、300kmまでなら5170円と、ほぼ均等に高くなっていきます。
ところが、JRには「遠距離になるとキロ当たりの料金が安くなる」というルールが存在します。例えば、乗降距離が601km以上になると、料金が上がるペースがおよそ半分になり、1000kmでは1万2540円(100kmあたり1254円)、2000kmでは2万240円(100kmあたり1012円)と、かなり割安になるわけです。
ですから、
できる限り長距離の切符を買うほど得をする
ということになります。
ただ、JRの切符には
同じ駅を2度通ってはいけない
というルールもあるので、むやみにぐるぐる回るような切符を作ることは出来ません。
このような制約のもとで、うまく長距離を買うことがコツです。この手の切符を、鉄道ファンの間では、一筆書き切符なんて呼んでいます。
事例紹介
ややこしいので、事例を上げて説明します。これは、わたし自身が何回もやったプランでもあります。
週末に東京に出張することになったとしましょう。そのまますぐ帰るのはもったいない。仕事をさっさと片付け、その日のうちに甲府あたりに移動して温泉泊。次の日は、朝の高原列車に乗って、信州そばでも味わい、木曽路を歩く。
こんな感じの1泊2日の旅は悪くありません。
さて、このような場合、どんな切符を買えばよいのでしょう。
何も考えないで、東京まで東海道本線で行く切符と、帰りの中央本線経由の切符を別々に購入したとしましょう。
購入金額は下記のようになります。どちらも600キロ未満なので、「遠距離逓減制」の恩恵には全く与れません。
発駅 | 着駅 | 経由 | キロ数 | 料金 |
---|---|---|---|---|
大阪市内 | 東京都区内 | 東海道本線 | 556.4 | 8750 |
東京都区内 | 大阪市内 | 中央本線 東海道本線 | 587.3 | 9290 |
合計 | 18040 |
そこで、一枚目の切符を大阪→東京→塩尻→金山のように、一筆書き切符として購入してみます。東京で途中下車できるので、問題なく仕事先に行けます。金山から大阪は、別の切符として買いましょう。
発駅 | 着駅 | 経由 | キロ数 | 料金 |
---|---|---|---|---|
大阪市内 | 金山 | 東海道本線 中央本線 | 943.5 | 11900 |
金山 | 大阪市内 | 東海道本線 | 193.7 | 3350 |
合計 | 15250 |
この2つの表を見ていただくとわかるように、なんと後者のほうが、
2790円も安い
のです。どこかで軽く一杯くらいできそうですね。
運賃計算ツール ”MARS” の紹介
JRの運賃を計算するには、時刻表で経由する線ごとにキロ数を計算し、運賃表と付き合わせるのが基本ですが、これは大変手間のかかる作業なので、いくら鉄道好きでもやりたいとは思いません。
そこで、"MARS" の登場です。このツールを使うと、先に紹介したような経路別運賃計算を時刻表なしで、簡単に実現することが出来ます。
(1) 基本的な使い方
MARSを起動すると、発駅と着駅の入力を求められますので、ローマ字で入力します。途中までの入力でも、下図のように候補を出してくれるので、これを選択します。
ここでは、発駅に “大阪” 、着駅に “東京” を選択したとしましょう。この場合は、特に経由を選ばなくても、一般的な “東海道本線経由” を使って、運賃を表示してくれます。
(2) 複雑な経由の指定
“大阪” から “金山” まで東海道、中央本線経由で行く場合の例を示します。ここでは簡単にするため、品川から山手線を経由することにしておきましょう。
“金山駅” は、全国に2箇所あります。"(根)金山” というのは、北海道根室本線の駅なので、これを選択するととんでもないことになります。
“(中)金山” というのが中央本線の駅ですので、こちらを選択します。
ここからは少し複雑になります。
経由する線と駅を、右側のボックスから選択していきます。このあたりは鉄道の路線図が頭に入っている人間でないと対応できないかもしれません。まあ、こういうツールを使うような人間は鉄道ファンだけですから、問題ないでしょう(笑)。
指定した経路のキロ数と運賃が表示されます。
なお、“大阪” から “金山"を通常の東海道だけで直結する場合は、経由を “東海道” だけにすれば、下記のようになります。
“MARS” で問題になるのは...
このツールが、
MS-DOSベースのアプリケーション
であるということです。32ビットWindowsでは動作するようですが、64ビット版では動かないとのことです。
配布サイトには、暫定版の扱いでWindows版がありますが、使い勝手は、DOS版が圧倒的に良いです。
まあ、いずれにしても、
Linux環境ではどちらも動きません。
次回は、このあたりをなんとかしていきましょう。