Android黎明期のクラムシェルたち ( その1 2010年、こんなマシンがでていた )

...そして誰もいなくなった。


10年前の2010年と言えば、Androidが普及し始めた黎明期と言えるでしょう。Android1.0が登場したのが、2008年9月、2009年暮にはバージョンが2.0に上がり、その翌2010年は各メーカーから多くの機種が登場して来た時期にあたります。

さて、この時期にAndroidを搭載したキーボード一体型のクラムシェルマシンが数社から発売されています。
その理由として、

  • Androidのコンセプトが十分に固まっていなかった。
  • 「PCといえばキーボード」という古い価値観。
  • ソフトウエアキーボードの出来がひどかった。
    などなどが挙がるのでしょうか。

まあ、色々な側面があると思いますが、ようするに、いまだ「Androidの方向性が十分に定まっていなかった」ということでしょう。

これらのマシンは、それぞれサイズも違いますし、コンセプトも異なる気がします。登場時点で共通しているのは「Android搭載のクラムシェル」という点だけだったのですが、最終的に当初想定外だったであろう共通点を持ってしまうことになります。

さっぱり売れず、営業的に大失敗だったこと

今考えてみれば、Androidの最大の用途は携帯性であり、キーボードはそれをスポイルする要素にすぎないことは明白なのですが、当時は過去の姿に引きずられていたのでしょう。

それゆえ、これ以降、

キーボード一体型のクラムシェルマシンは殆んど見かけなくなりました。

さて、こんなマシンたちですが、一部のマニア御用達となっているものもあります。これから、そんなクラムシェルを紹介していきましょう。


IS01(au)、Lynx SH-10B(NTTドコモ)

シャープが2010年6月に発表したクラムシェル。

OS:Android 1.6
CPU:Qualcomm Snapdragon S1
メモリ:256MB
ストレージ:4GB
ディスプレイ:5.0インチ (480×960ドット、タッチパネル)
質量:約227 g

こちらは、”IS01”で、auからでていました。このマシンの「投げ売り騒動」については、この記事あたりを見て下さい。

こちらは、”Lynx SH-10B”で、NTTドコモから。

5インチディスプレイ搭載で、230g程度の携帯性を確保しています。一応通話もできるようですが、電話をかけたという人の話を聞いたことがありません。
営業的には大失敗だったのでしょうが、個人的にすごく好きなマシンで、”IS01”だけでなく、”Lynx SH-10B”まで買ってしまいました。


Dynabook AZ

東芝が2010年8月に発表した機種。

OS:Android 2.1
CPU:NVIDIA Tegra 250
メモリ:512MB
ストレージ:16GB
ディスプレイ:10.1インチ(1024×600ドット)
質量:870g


”IS01”と違って10インチのディスプレイを採用しているので、一見普通のノートPCに見えます。 そのため、わざわざパームレストに「本製品はWindows OS搭載機ではありません。Android2.1搭載 クラウドブック」との注意書きがなされていました。

わたしが購入したのは、発表から半年程度経過した2011年の4月だったと思います。発売当時の価格は4万4〜5000円だったと記憶していますが、この段階で21000円まで暴落しておりました。このマシンにも、いろいろな紆余曲折があって、それなりに楽しい経験をさせていただきました。


Lifetouch Note

こちらは少し遅れて、NECが2011年3月に発表した機種。

OS:Android2.2
CPU:NVIDIA Tegra 250
メモリ:512MB
ストレージ:16GB
ディスプレイ:7インチ(800×480ドット、タッチパネル)
重量:699g

”IS01”と”Dynabook AZ”の中間に位置する7インチモデル。それにしては、重量700gと結構な重さ。厚みもあるので、ずっしりと感じます。
先の2台は、営業的にはともかく、マニア連中には結構愛用されていたように思います。使われ方自体は、当初メーカーが想定したものとはかけ離れていましたけど。
一方、この機種は殆んど顧みられることなく消えてしまったという感じがします。わたし自身、中古で入手はしたものの、あまり熱心に使った覚えがありません。

さすがに、このまま放置してしまうのは、あまりに不憫。
次回は、この不遇な”LifeTouch Note”の活用を考えてみましょう。