2021-03-29 春めいてきた大阪を歩こう(新今宮から梅田まで)
ここに来て急に陽気が春めいてきました。今週末にも桜は満開、春爛漫というところでしょうか。昨年からのコロナ騒動で遠出は避けていますが、こんな天候になると外に出たくなるというもの。感染回避は「密を避ける」というのが趣旨ですから、歩きなら構わないでしょう。
そこで、今回は大阪のミナミからキタを徒歩で縦断してみます。ただ歩くだけではつまらないから、古本屋や電気街を少しぶらついてみる予定。
新今宮駅から大阪まで北上するというコースですが、直線距離にすると8キロ程度でしょうが、少し寄り道をするつもりなので、10キロ程度の行程となると思われます。
まずは新今宮へ
大阪駅から環状線で新今宮駅下車。時刻は午前11時。ここから堺筋を北上、梅田を目指します。
新今宮の駅を出てすぐのところには、いつも露天形式の古本屋が出ているのですが、今日は見当たらない。まだ営業前かもしれません。
雑然とした道筋を少し進むと、反対側に「鈴屋」が見えてきます。
ここはしっかりした古本屋で、エロから堅い本まで一通り揃っている古本屋ですね。全集の揃いなどもあって、きょうは「獅子文六全集全16巻」(4500円)というのを見つけました。かなりの安価と思うが、守備範囲から外れているので、よくわかりません。
恵美須町へ
新今宮から、歩くこと10分。恵美須町である。電気街の入り口にあるのが上新電機。昔はこのあたりによく来たものですが、すっかりご無沙汰しています。
90年代は堺筋左右の雑居ビルに、様々なパソコンショップが出ていたものでした。薄暗い階段を上がって店舗に入るには、いささか躊躇いを感じたものです。
それが、やがて来訪者が増えてきて、エレベータに待ち行列ができるまでになっていったのには驚かされたものです。
その中で思い出すのが、あのオウム真理教が運営していた「マハーポーシャ」というPCショップ。メーカー製に比べると大幅に安いパソコンを販売することで有名でした。雑誌にも大掛かりな広告を打ち、確か「国内工場で丁寧に組み立てたパソコン」を売りにしていたように記憶しています。
これは嘘ではなく、あの「上九一色村のサティアン」で、信者が修行の一貫(?)として組み立てていたとのこと。自社工場生産、かつ人件費がほとんどかからないのだから、価格面の優位性も当然でしょう。
その「マハーポーシャ」ですが、秋葉原はもとより、ここ日本橋電気街にも実店舗を出していて、二度ほど訪れた記憶があります。当時、いわゆるDOS/Vマシン購入を検討していたのですが、「マハーポーシャ製PC」はその有力候補だったのです。
その検討のため、店舗を訪問したのですが、そのときに驚いたのが、店員の知識レベルの高さ。上新や二宮の店員とはモノが違うのですよ。今思えば、オウムの信者には理系高学歴が多かったから、彼らが担当していたのかもしれません。
結局、そのときは「IBMの型落ちPS/V」を安く買ってしまったのですが、「マハーポーシャで購入しておけば話の種になったのに」と後年後悔したものです。
さて、その後のPCショップですが、最近では一本西に入った通りが主流になっているようです。通称”オタロード”というらしい。「イオシス」や「パソコン工房」あたりが代表するショップでしょうが、フィギュアなどを扱っている店舗も目立ってきています。
現在、PCにあまり興味がなくなっているので、適当に冷やかして電気街を抜けてしまいました。今使っているPCは、もう8年くらい前のマシンですから、そろそろ買い替えどき。その際には、また熱心に徘徊することになるかもしれません。
日本橋駅へ進む
オタロードを抜けて堺筋に戻ると、正面に「東京チカラめし」が見えてきました。一時は全国で100店舗を越える勢いで展開していたようですが、その後「牛丼戦争」に敗退。現在は数店舗しかない模様。大阪にあるとは知りませんでした。
そこから地下鉄日本橋駅に向かう途中に、「宮本書店」があります。ここは鉄道系の書籍、雑誌が豊富なので、昔から時々通ったところ。今も健在なのは嬉しい限り。
日本橋駅を越えて、千日前通りを渡った所には、「日本橋ブックセンター」と「昭和書籍」が隣接してあったのですが、なくなってしまいましたね。
ここを少し行った左手が道頓堀。はじめて関西に来た1980年代には、この通りの真ん中に「天牛」がありました。その後田舎の工場に飛ばされたので、あまり行けなかったのが残念。現在は、江坂と南森町に店舗を移して営業中です。
道頓堀といえば、てっちりで有名だった「づぼらや」も、コロナ渦に巻き込まれて消えてしまったなあ。
堺筋本町に到着
ここからはひたすら北上、12時すぎに「船場センタービル」に到着。ここには倒産した「天牛堺」が入っていましたが、「槇尾古書店」がその後を引き継いでいます。ミステリ関係を見ると、ホームズ関係が色々揃っているのが眼を引きました。
谷町筋に迂回
ここから、東に迂回、谷町筋を目指します。
目的は、天満橋の「花月書房」。小さな店ですが、品揃えがわるくないので、時々覗いておきたい店のひとつ。
12時を過ぎて気温はいよいよ上昇、20度を越えているでしょう。汗ばむ陽気になってきました。西に戻り、大川を天神橋で渡ると、中の島公園の桜がだいぶ開いているようです。気温が急に上がってきましたから、この週末には満開でしょう。
天神橋筋商店街へ
橋を渡りきったところから、天神橋筋の「日本一長い商店街」に入ります。
歩き始めてから2時間以上経過していて、もう13時を過ぎました。ここまで10キロ以上歩いてきましたから、腹も減り、喉も乾きました。
ここで昼食。南森町駅の交差点を越えたところにある「しゃぶ亭 天神橋店」に入ります。ここは一人しゃぶしゃぶ専門の店で気楽に入れるので、このあたりに来た時に何回か利用したことがあります。
今日は「豚ロース定食 ワンハーフ(1250円)」、肉5割増。
もちろん、ビール(中瓶 500円)も飲む。こちらは10割増で、2本飲んでしまう。10キロも歩いたのだから、当然でしょ(笑)。
「天牛」で本を買う。
この先の「天牛」で、ようやく本を一冊購入。
国書刊行会昭和52年発行、「ドラキュラ叢書」の一冊。この叢書については、こちらの情報が参考になりますが、「ク・リトル・リトル神話集」以外は売れなかったらしい。続刊の10巻も企画されていたが、日の目を見ることなく終わってしまったとのことでした。
書名 | 作者 | 出版社 | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|---|
スカル・フェイス | R・E・ハワード | 国書刊行会 | 500 | 南森町天牛 |
扇町公園から梅田へ
天神橋筋を西へ折れ、扇町公園を横切り、大阪駅方面を目指します。
少し東側に入ると阪急東通りで、かつては、その入口に「古書ゆうぶん」、さらに商店街を中に進むと、「末広書店」がありました。
ここは、稀少本を置いていた「荷物を預けないと入れない4階」が有名で、その下の2、3階はすべてエロ本なのですが、そこがまるで関所のようになっていて、妙におかしかったことを思い出します。
東通り商店街を抜けたところの雑居ビルにあった「梅田古書倶楽部」も閉店のようで、このあたりを寄り道する楽しみはなくなってしまいましたね。
阪神百貨店で締める
関西に来て40年以上になりますが、「阪神タイガース」のファンではまったくありません。むしろアンチでしょう。あの品のないファンの応援は耐え難い。
しかし、「阪神百貨店」は別です。特に「地下食料品売り場」の大ファンであります。
初めて行ったときは、人出の多さに勝手がわからず、立ち止まってまわりを確認していたら、おばちゃんに体当たりを食らったうえ、「もう」とばかりに睨みつけられたものでした。いささか理不尽ですが、流れに乗れなかったこちらが悪いのでしょう。
今はそんなこともなく、店内の配置もすっかり頭に入っています。海鮮物を扱っているエリアの後部にある階段を登ると、トイレがあることまで把握していますので、長期戦も問題なし(笑)。ただ、最近改装工事で、店舗配置が色々変わっているのが悩みの種です。
さて、本日はその「地下一階食料品売り場」には目もくれず、エレベーターで一気に8階の催場まで上がってしまいましょう。
そう、古書市が開催されているのであります。
客層を考えてなのか小説本中心の品揃えで、筋金入りの古書ファンには物足りないでしょうが、わたしのレベルにはちょうどよい。
ここでは、8冊ほど購入。
「マンハント」は久しぶりに見ました。30冊ほど持っている気がしますが、全く整理していないので、ダブリの可能性も高いですが、まあいいでしょう。
モイーズは初期の4作がそれなりに面白かったので、目についたら買っておくことにしています。
(「死の会議録」と「殺人ア・ラ・モード」のレビューは、こちら。)
書名 | 作者 | 出版社 | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|---|
第三の犬 | パトリシア・モイーズ | ハヤカワポケットミステリ | 300 | 阪神古書市 |
ココナッツ殺人 | パトリシア・モイーズ | ハヤカワポケットミステリ | 300 | 阪神古書市 |
抵抗の街 | ピエール・ノエル | ハヤカワポケットミステリ | 200 | 阪神古書市 |
シロへの長い道 | ライオネル・デヴィッドスン | 早川ミステリ文庫 | 200 | 阪神古書市 |
テキサスから来た男 | アーネスト・ヘイコックス | 中公文庫 | 300 | 阪神古書市 |
砂の城 | 鮎川哲也 | 角川文庫 | 200 | 阪神古書市 |
マンハント昭和34年3月号 | 久保書店 | 400 | 阪神古書市 | |
マンハント昭和38年4月号 | 久保書店 | 350 | 阪神古書市 |
これで行程は終了。後は、地下食料品売り場に戻り、晩酌のつまみを買って帰るだけである。