クイーンの定員I -傑作短編で読むミステリー史 ( 各務三郎編 )

19世紀の作品ばかりということで覚悟しましたが、それなりに読ませます。


題名 作者 評点 コメント
序にかえて エラリイ・クイーン
王妃の犬と国王の馬 ヴォルテール 6.0 足跡の推理という歴史的な作品なのでしょう。
盗まれた手紙 エドガー・アラン・ポオ 6.0 今読み返すと後半のくどさについていけない。
人を呪わば ウィルキー・コリンズ 7.0 間抜けな捜査員がなんとも言えず面白い。作者の筆力に感心。
舞姫 トマス・B・オルドリッチ 5.0 よくわからない展開。
世にも名高いキャラヴェラス郡の跳び蛙 マーク・トウェイン 7.5 ハチャメチャなホラ話で楽しいが、どうしてミステリの傑作選に入るのだろう。
バチニョルの小男 エミール・ガボリオ 7.0 中編。ミステリとしてはいきあたりばったりだが、話の展開が巧みで面白く読める。
クリーム・パイを持った若い男の話 ロバート・ルイス・スティーヴンスン 5.0 「自殺クラブ」として知られる作品。
赤毛同盟 A・コナン・ドイル 6.5 ホームズ物の代表作。今読むと大した出来とは思えないが、一つのパターンを作り出した点は評価しないといけない。
サミー・スロケットの失踪 アーサー・モリスン 5.0 ランナー失踪事件。あまり面白くない。
罪の本体 メルヴィル・D・ポースト 6.5 悪徳弁護士メイスン物。このネタはガードナーも使っていたな。
ダイヤのカフスボタン グラント・アレン 5.0 宝石をめぐる駆け引きだが、予想通りの結末。
代理殺人 M・マクドネル・ボドキン 6.0 ポーストの有名作と同じトリックだが、こちらのほうが早いようだ。
ディキンスン夫人の謎 ニコラス・カーター 6.5 小切手詐欺を解決するニック・カーター。スピーディな展開が良い。
ラッフルズと紫のダイヤ E・W・ホーナング 3.0 全くつまらない。翻訳が出なかったわけだ。

 「クイーンの定員(Queen’s Quorum)」は、探偵小説史上重要な短編集を選び、コメントを付したもの。初版は1951年に Little Brown から出版され、1969年に増補版が BIBLO & TANNEN から発行されています。

短編集の選定にあたっては、

1.歴史的重要性(H)
2.文学的価値(Q)
3.稀覯本としての希求度(R、S)

の3点で選択しているとのこと。2と3は方向性が違うような気もしますが、これはクイーンの趣味なのでしょう。選ばれた短編集は、初刊本で106冊、増補版で125冊まで追加されています。

左の掲げている書影は、BIBLO & TANNEN から出版された増補版ですが、1998年にBarnes & Noble から21ドルで購入したものです。なんと出版から30年近くになりますが、在庫があった模様。ただ、買ったはいいがあまり興味のない内容だったので、そのまま放置。今回なんとか取り出してみたのですが、あれから28年も経過しておりました。


 さて、このアンソロジー「クイーンの定員 -傑作短編で読むミステリー史」は、選ばれた短編集に収録された作品の中から、各務三郎が選考したもののようです。第1巻は、「黎明期〜ドイルの10年」ということで、1899年までの作品が掲載されています。傑出した作品はありませんが、楽しく読めます。ミステリと関係のない作品のほうが面白いのは皮肉でした。


光文社文庫 1992年3月20日 初版1刷発行 518ページ 860円