新青年ミステリ倶楽部 幻の探偵小説 ( 中島河太郎編 )

一定のレベルの作品を揃えているものの、他のアンソロジーとの重複が多く、いささか物足りない。


題名 作者 評点 コメント
幻の森 甲賀三郎 6.5 [昭和5年9月]前半の不思議な展開は面白いのだが、後半の解決にはいささかがっかり。
地獄横町 渡辺啓助 7.0 [昭和8年4月]悪魔派作家の遺作にまつわる因縁話。ちょっと意外な展開が面白い。
恋慕 木々高太郎 5.5 [昭和10年5月]医学生と人妻の恋愛を背景にした事件だが、真相は容易に見当がつく。
三人の双生児 海野十三 6.0 [昭和10年9-10月]新青年傑作選1 推理小説編で読了済
血妖 大下宇陀児 6.5 [昭和7年5月]殺したはずの男に再会した恐怖をうまく描いている。
海底 瀬下耽 7.0 [昭和3年10月]入水死体にまつわる展開が良く出来ている。
せんとらる地球市建設記録 星田三平 3.0 [昭和5年8月増刊]新青年傑作選2 怪奇・幻想小説編で読了済
水色の目の女 地味井平造 5.0 [昭和15年6月]爬虫館事件 新青年傑作選で読了済
勝敗 渡辺温 6.0 [昭和3年10月]一人の女性をめぐる兄弟の葛藤。ラストの捻りが今ひとつ。
古銭鑑賞家の死 葛山二郎 3.0 [昭和8年1月]わけのわからないトリックで読むに耐えない。
本牧のヴィナス 妹尾アキ夫 6.5 [昭和4年2月]爬虫館事件 新青年傑作選で読了済
鼠の贄 高木彬光 7.5 [昭和25年5月]現代の推理小説(第1巻) 本格派の系譜(I)で読了済
  • 読むべき作品は、すでに他のアンソロジーで取り上げられている、ということでしょう。

昭和61年7月10日 第1刷発行 326ページ 780円