新青年傑作選集4 怪奇編 ひとりで夜読むな ( 中島河太郎編 )

低レベルの作品が多くて、盛り上がらない読書となった。


題名 作者 評点 コメント
ヤトラカン・サミ博士の椅子 牧逸馬 3.0 [昭和4年10月]わけのわからない幻想談。
死屍を食う男 葉山嘉樹 3.0 [昭和2年4月]これまたつまらない怪談。
紅毛傾城 小栗虫太郎 7.0 [昭和10年10月]荒涼としたベーリング海を舞台にした因縁話。新伝奇小説という名称にふさわしい。
可哀想な姉 渡辺温 7.0 [昭和2年10月]新青年傑作選2 怪奇・幻想小説編で読了済
鉄槌 夢野久作 5.0 [昭和4年7月]虚無的な主人公と悪女の組み合わせがまるでしっくり来ない。
痴人の復讐 小酒井不木 4.0 [大正14年12月]後味の悪い復讐談。医師が書く話ではなかろう。
柘榴病 瀬下耽 7.0 [昭和3年10月]爬虫館事件 新青年傑作選で読了済
告げ口心臓 米田三星 6.5 [昭和6年9月]二重のプロットが面白い。
聖悪魔 渡辺啓助 6.0 [昭和12年1月]聖職者の本音を書いた日記を巡る展開は悪くないが、オチが今ひとつ。
本牧のヴィナス 妹尾アキ夫 6.0 [昭和4年2月]前半のムードは良いのだが、メインの怪談がぱっとしない。
エル・ベチョオ 星田三平 3.0 [昭和7年9月]こんな子供ぽい作品がなぜ傑作選なんだ。
マトモッソ渓谷 橘外男 6.0 [昭和14年3月]語り口は楽しいが、序編で終わりでは。
芋虫 江戸川乱歩 8.0 [昭和4年1月]やはり群を抜いたレベルである。
  • 付録として、水谷準が『作家を作る話 なつかしき「新青年」時代』を書いている。谷譲次、久生十蘭、徳川夢声、獅子文六、小栗虫太郎、木々高太郎との出会いを記述。これは、「週刊朝日」昭和三十二年六月二十八日号から五回にわたって断続に掲載されていたものとのこと。

昭和五十二年十月十五日 初版発行 昭和五十三年六月二十日 三版発行