日本代表ミステリー選集10 殺人者が追ってくる ( 中島河太郎 権田萬治編 )

佳作揃い。一気に読み通した一巻でした。


題名 作者 評点 コメント
虚ろな天使 三好徹 6.5 [小説エース 四十四年]久しぶりの「天使シリーズ」。悪くはないが、いささか展開があっけない。
電話 吉行淳之介 3.0 [宝石 三十二年十二月]つまらない小話。なんでこんな作品が代表ミステリーに選ばれるのだろうか。
漕げよマイケル 皆川博子 6.0 [小説現代 四十九年一月]同級生を毒殺した男の話だが、ラストが今ひとつ。
人形の家 草野唯雄 6.0 [小説宝石 四十七年六月]ある作家の作品を巡る大芝居だが、あまりに大げさで作り物めいている。
失踪事件 加田伶太郎 7.0 [小説新潮 三十二年四月]推論は少し強引だが、ホームズ物を思わせる展開が楽しい。
歪みの結晶 笹沢左保 7.0 [別冊小説新潮 三十七年七月]この題材で読ませる作品を書く力量に感心する。
方壺園 陳舜臣 8.5 [小説中央公論 三十七年五月]現代の推理小説(第2巻) 本格派の系譜(II)で読了済。
作並(さくなみ) 島田一男 7.5 [宝石 三十二年十二月]盲目の女按摩の不気味さが印象に残る。
波の音 城昌幸 6.0 [宝石 三十年四月]現代の推理小説(第3巻) ロマン派の饗宴で読了済。
誰かが寝室にいる 菊村到 7.0 [推理増刊 四十七年十二月]なかなか面白い設定で最後まで読ませる。
おえん 水上勉 7.5 [別冊週刊朝日 三十六年三月]妻殺しの男とおえんの不思議な関係が印象に残る一篇。
  • 後半の作品に読ませる作品が多く、一気に読了しました。
  • この「日本代表ミステリー選集」ですが、どうも巻ごとの作品レベルに、少なからずの差があるのが不思議です。
  • 解説では、権田萬治が「<推理>ノート ハードボイルド派の系譜」として日本におけるハードボイルド作品について説明しています。

昭和五十一年三月十日初版発行 419ページ 定価380円