透明人間大パーティー ( 鮎川哲也編 )

「透明人間」テーマで一冊にするには無理がありすぎたようです。


題名 作者 評点 コメント
透明の人間 槙尾栄 3.0 [キング 昭和3年10月]透明人間になった青年の悲恋話。
赤外線男 海野十三 5.5 [新青年 昭和8年5月]赤外線で見えない男というギミックは面白いのだが、解決はいささか陳腐。
白蛾 香山滋 4.0 [『怪異馬霊教』岩谷書店 昭和23年4月]中盤の荒唐無稽な展開がなんとも退屈。
Mr.トウメイ モンキー・パンチ [週刊小説連載]4コマ漫画
高天原の犯罪 天城一 7.5 [別冊旬刊ニュース 昭和23年5月]密室殺人傑作選 競作シリーズ3で読了済。
透明願望 草野唯雄 5.5 [記載なし]定年間近のヒラ社員は透明になった男と暮らすことになるのだが。犯行がバレる過程が生臭くスッキリしない。
傍のあいつ 手塚治虫 5.0 [小説中央公論 昭和37年10月]漫画にしたほうが面白くなりそう。
透明人間がやってきた 都筑道夫 3.0 [初出不明]少年物なのだが、この解決はひどい。
見えない手の殺人 赤川次郎 5.5 [週刊文春 昭和54年7月12日号-8月2日号]トリックは予想できるし、ラストは暗く救いがないのが嫌だ。
見えない敵 横田順彌 6.0 [野性時代 昭和59年9月]ダジャレで締めるところはヨコジュンならでは。笑ってしまった。
透明の恐怖 江戸川乱歩 [別冊文藝春秋 昭和31年10月]エッセイ

「透明人間」をテーマにしたアンソロジー。
海外SFまで対象にすれば、まだ作品もあるのでしょうが、日本の作品に限定すると漫画、ジュブナイルまで手を広げてみても見るべきものはなし、といったところでしょうか。まあ、鮎川哲也と新保博久がこのテーマの編者にふさわしくないのかもしれません。


講談社文庫 昭和60年7月15日 第1刷発行 406ページ 480円