EQMM 1960/7 No.49 読者への挑戦 第2弾

それなりに面白い作品が揃っているぞ。

題名 作者 評点 コメント
殺人者の花嫁 E・S・ガードナー 6.5 よくある構成なのに、後味良く読ませるのはさすがだ。
名探偵アレクサンダー大王 シオドア・マシスン 8.0 舞台設定で確実に読ませるシリーズだが、今回は謎解きも面白い。
漁夫の利 マイケル・ギルバート 7.0 ちょっと意外な結末が良い。
その銀貨をすてるな リンク・クロイセン 5.0 これでリドルストーリーとは無理がある。趣向倒れ。
レイ・ブラッドベリ 6.0 二人称のファンタシー。わたしの感性には響きません。
アプルビイ氏のみごとな世界 スタンリイ・エリン 6.5 皮肉な結末は面白いが、エリンにしてはもう一つかな。
真夜中のアリバイ デイモン・ラニアン 8.0 軽妙な語り口におとぎ話のような展開、ラストでくすりと笑わせるオチ、楽しい作品。
消えたダイヤモンド クレイトン・ロースン 7.0 「読者への挑戦第2弾」問題編。51号をカンニング。この隠し場所は面白い。しかし手が疲れるだろうな。
暗闇の黒帽子 ダシール・ハメット 5.0 短い枚数にストーリーを詰め込み過ぎ。
神父 アーウィン・ショウ 4.0 何が言いたいのかわからない。
子守り アーネスト・ハリスン 7.5 見開き2ページなのだが、ラストはちょっと驚いた。
追憶の時 ウェイド・ミラー 7.0 なるほどこの趣向だったのか。うまい作家である。
シャーロット・アームストロング 6.0 少し長すぎる。たかが犬殺しで、こんな大げさな騒ぎにはなるまい。
べっこうの櫛 ロイ・ヴィカーズ 6.5 神経質な主人公と皮肉な結末が効いている。
隣の椅子(21) 有馬頼義
バック・シート 中村真一郎 クイーン「クイーン検察局」
紙上殺人現場(その七) 大井広介
EQMM翻訳紳士録<4> PON 高橋豊氏
ミステリラウンジ(5) 扇谷正造 ガーヴ「新聞社殺人事件」
ミステリ番組のD テレビディレクターの紹介
ミステリニューウェイブ Sin
アメリカ探偵小説の一傾斜 都筑道夫 目次は一斜傾になっているぞ。
東京三面鏡(3) 青木雨彦 事件記者日記
探偵小説風物誌 中内正利
表紙 稲垣行一郎
カット 北園克衛
ページ 208ページ
定価 150円 地方155円

第二回EQMM短篇コンテスト入選発表

  • 入選
    該当作なし
    (但し、賞金三万円は来年度分に加算)

  • 佳作(賞金各一万円)
    恥目家の亡霊 安永一郎
    くらがりの男への手紙 横山藤衛

  • 努力賞(賞金五千円)
    精算屋の家 膳哲之助

→なんと作者の住所まで書いてある。今なら考えられないな。

銓衡座談会
(出席者) 佐藤春夫 大井広介 福永武彦 (司会) 都筑道夫
応募作品数 三百五十八点 予選を通ったのは七編とのこと。
大井が「恥目家の亡霊」を買っているのが目立つ。
入選作がないので、英訳もなしとのことである。