EQMM 1960/10 No.52 特大号・ハードボイルド特集

特大号にしては面白い作品が揃っている。

題名 作者 評点 コメント
「カラーに口紅 コーネル・ウールリッチ 5.0 話はつまらないし、長すぎる。
ひとりぼっち ヒュー・ペンティコースト 6.5 少し意外な展開だが、伏線が効いていない。
うぶな心が張り裂ける クレイグ・ライス 8.0 テンポよく進むマローン物。でも、トリックはこれしかないな。「密室殺人傑作選」で読んだ記憶があるが、内容はすっかり忘れていた。
闇を這う手 L・J・ビーストン 5.0 ビーストンにしてはひねりがないな。
夜の虎 エリザー・リプスキイ 5.0 ちょっと宗教臭さを感じるし、そもそもミステリではない。
頭紋 バリイ・ペロウン 7.0 面白い設定で読ませる。
誰かと、誰かが… A・H・Z・カー 6.5 この作家にしては今ひとつ盛り上がらない。
陽は昇らず スティーヴ・フィッシャー 7.5 物悲しい話である。大戦下の上海を舞台にしたオチも効いている。
大立物 ブレット・ハリディ 7.5 独特の語り口で展開される物語が良い。
ヌーン街で拾ったもの レイモンド・チャンドラー 4.0 何というつまらない話だ。
晩年のチャンドラー イアン・フレミング <ロンドン・マガジン掲載、本誌版権独占>とある。(注)
隣の椅子(24) 有馬頼義
バック・シート 中村真一郎 ガードナー100冊目の話
紙上殺人現場(その十) 大井広介
ミステリラウンジ(8) 扇谷正造 ショートショートについて
ミステリニューウェイブ Sin
ミステリ・オン・ザ・ウェイブ 刺片子 社会面のミステリ
EQMM紳士録(6) 中田耕治氏
さらばわが名探偵たちよ 中田耕治 ハードボイルド論
東京三面鏡(6) 青木雨彦 事件記者日記
探偵小説風物誌 中内正利
表紙 稲垣行一郎
カット 北園克衛生・野口久光
ページ 212ページ
定価 150円 地方155円
  • (注)007ブーム以前なので、フレミングのネームバリューは未だ小さく、解説でプロフィルを紹介されている。
    この文章について、「某作家(名前を明記するのさえ恥ずかしい、ハードボイルドとは似て非なる虐殺小説、拳銃小説の作家、チャンドラーが最も嫌ったミッキィ・スピレインにさえも、顔向けできない日本製チープ・ライターと云えばお判りでしょう)がある雑誌に「チャンドラーが死んだ夜」と銘うって、いかにも自分のオリジナルだと云わんばかりに、ちゃっかり利用してしまったのには驚きました。」としている。誰のことかは明白ですね。
  • 読者への挑戦第3弾当選発表
    「解答は、一〇八五三通、正解は一九五一通」だという。
    「今月号は読者への挑戦を休載いたしましたが、読者の方々からのご要望が多ければ、また問題をおだししたいと思っております。」とある。
    これ以降はなかった気がします。