HMM 1969/11 No.163 冒険作家ハワード特集号

ハワードが後半を専有する大胆な紙面構成。当時の読者の反応はいかがだったのでしょうか。

題名 作者 評点 コメント
夏の終り シャーリイ・ジャクスン 5.0 村にとどまることにした夫婦に起こる出来事。不気味な話だが、ラストがよくわからない。
仕事は馬鹿のするもの コーネル・ウールリッチ 4.0 戯曲形式。一周忌追悼に、もう少しマシな作品はなかったのだろうか。
恋盗人 パトリシア・ハイスミス 2.0 何が書きたいのかわかりません。
マーリニと写真の謎 クレイトン・ロースン 6.5 お馴染みロースンのなぞなぞ物。トリックは推理不能だが、ストーリイは面白い。
翼の音が… シリア・フレムリン 3.0 暗く陰気な話でうんざり。
老水夫 ニコラス・フリーリング 4.0 つまらない小話。
ギンガム犬とキャラコ猫 ロバート・トゥーイ 5.0 隣人夫婦の喧嘩にうんざりしている弁護士。ラストが今一つ
妖魔ヶ谷 ロバート・E・ハワード 6.0 谷に潜む妖怪に立ち向かう男。いかにもウィアード・テールズという短編。
神々の眠り ロバート・E・ハワード 7.5 石室を発掘しに来た男は謎の女性に出会い十字架を受け取る。単なる怪異談ではなく、人間関係を絡ませて読ませる物語になっている。
ぬばたま海岸の女王 ロバート・E・ハワード 6.5 「コナンと石碑の呪い」で読了済。
大都会3 リング・ラードナー
クラレンス・ダロウは弁護する12 アーヴィング・ストーン
剣と魔法の国 鏡明 ハワード王国の冒険者
喪章をはずす日 田中潤司 ウールリッチ一周忌に寄せて
コリー・フォードの死 大原寿人 目次には常盤新平とあり
新・進化した猿たち 星新一
深夜の饗宴 小林信彦 鮎川哲也ーアリバイ破りへの招待
みすてり鳥瞰図 福田淳
地獄の仏 石川喬司
異常感覚歳時記(最終回) 針谷愛 夏について
紐育の日本人 平尾圭吾 映画(その1)
ノンフィクションガイド 青木雨彦 わたしを愛さなかったスパイ
響きと怒り
ミステリ一駒漫画 梅田秀俊
表紙 表紙の言葉 真鍋博 目次・扉
イラスト 真鍋博・勝呂忠・金森達・新井苑子・杉村篤・池田拓・伊藤直樹・岩渕慶造・桜井一・楢喜八・山野辺進
ページ 202ページ
定価 230円

今号は「冒険作家ハワード特集号」と謳っており、117ページ以降がハワードの作品3篇と、鏡明による解説といった構成になっています。現在ではヒロイックファンタジーはすでに確立された分野であり、ハワードはそれを代表する作家であることは明らかなのですが、当時はほとんど知られていなかったと思われます。
ましてや、この分野とミステリとの関連性はあまりありませんから、当時の読者には違和感が強かったのでしょう。翌月号の「響きと怒り」には下記の投稿が掲載されていました。

発売日を待ちかねてやっと手にしたミステリ・マガジンの大半を全然興味のない冒険小説に占領されて泣くに泣けない気持ちです。こんな気持ちになったのは私だけではないと信じています。
どうぞ今後は特集など銘うって一挙に三篇も掲載しないよう、くれぐれもお願いします。

これは当時の状況を考えると、当然の感想なのかもしれません。その気持ちよくわかります。わたしは同様の感想を「ニューヨーカー特集」や「ブラックユーモア特集」に今でも送りたい気持ちです(笑)。

さて、特集のハワードの3篇ですが、「妖魔ヶ谷」は、ラヴクラフトを思わせる、いかにもウィアード・テールズといった作品で、あまりオリジナリティを感じませんが、次の「神々の眠り」は、ハワードのストーリイテリングの旨さが発揮された佳作だと思います。